2008年のベストアルバム

Lars Bartkuhn : The New Continent

Lars Bartkuhn : The New Continent
Lars Bartkuhn : Images & Anthems Book I

2008年ベストとか言っても、数ヶ月以上前のことはもう忘れた。そもそも、音楽自体ほとんど聴いていなかったはずだ。しかし、ここ2ヶ月くらいは間違いなく毎日 Lars Bartkuhn を聴いている。現時点での最新作である「The New Continent」では「Goodbye Dancing Hello God」という印象的なタイトルのリードトラックがあるが、3曲目で神が舞い降りた。そして、「Images & Anthems Book I」は方向性こそ違えど、豊潤な音楽性と緻密なプロダクションが光っている。さらに過去作「Choreographies」も遡って購入したが、こちらもまた80年代フュージョン魂炸裂の傑作で、とりわけ「First Friendship」はパーフェクトな1曲!

レビュー(外部サイト):
旧・DISC-WRITER: Lars Bartkuhn / Choreographies
Tokyo Experiment | Lars Bartkuhn - Images & Anthems Book Ⅰ (Inpartmaint Inc.:NBIP-5041)
あと、 Tokyo Experiment は大変ためになるサイトです。

Lars Bartkuhn : Images & Anthems Book I
Lights Out Asia : Eyes Like Brontide

Lights Out Asia : Eyes Like Brontide

シューゲイザー系のバンドは詳しく知らんが、あまりにもツボな音に出会えた。ライツ・アウト・エイジア。本当は2007年リリースの前作「Tanks and Recognizers」をベストに挙げたいところだが、本作も十分に良い。 amazon のカスタマレビューに100%同意。

Amazon.co.jp: Eyes Like Brontide: Lights Out Asia: 音楽
Amazon.co.jp: Tanks and Recognizers: Lights Out Asia: 音楽

Fennesz : Black Sea

Fennesz : Black Sea

おそらく Fennesz 史上最も静かなアンビエント作品。しかし、静かな中にも緊張感を感じさせる。

Aidan Baker & Tim Hecker : Fantasma Parastasie

Aidan Baker & Tim Hecker : Fantasma Parastasie

まず、この二人のコラボであることが重要。そしてジャケ。音も期待を裏切らないアンビエントノイズ+一部アンビエントドゥーム。ゆったりと押し寄せるドローンノイズの波に掻き消されそうになりながらも、儚く美しいギターサウンドが胸を打つ。

KENLOU V : Thru The Skies

Kenny Dope + Louie Vega による KENLOU 名義の非ハウス作品。柔らかなパッドとブレイクビーツで構成されたシンプルなバックトラックの上をキーボードのメロディがあたかも空を舞うかのように自由に飛び回る、17分超の空中遊泳。
アナログに針を落として聞こえてくる1曲には iTunes Music Store でダウンロードした1曲とは比べ物にならないほど愛着が沸く。音楽を iPod に入れて持ち運ぶというお手軽さは、いつしか1曲1曲に対して真剣に向かい合う姿勢を忘れさせていたように思う。

SVARTE GREINER : Knive

“Accoustic Doom” と謳われているだけあってかなりダークで重く、退廃的な音だ。しかし時折美しさもあり。 Deaf Center といい、こういう方向性は大歓迎だ。

YAGYA : Will I Dream During The Process?

5月22日発売。
Sending Orbs | News
ついでに同じく Sending Orbs から KETTEL の新作 My Dogan も控えている。また、 Sending Orbs で印象的な世界観のジャケットを描いている Jeroen Advocaat つながりで、 Maps + Diagrams : Antennas and Signals が日本の moamoo というレーベルからまもなくリリースされるとのこと。というかここらへんの話は全部 mamoo の blog を見れば詳しく書いてありますね。
moamoo

R&S : MISSION 2

2001年になぜかアンビエント系サブレーベル Apollo から Afronaught の作品がリリースされて以降、音沙汰無しだった R&S であるが、あれから数年を経てついに甦った模様。ホームページではさながらクロニクルといった様相で黄金期の名曲を耳にすることができる。浮遊するようなイントロから一転、近未来都市を疾走するケンイシイ Extra は何度聴いても素晴らしいな。それとなぜか CJ Bolland が無いぞ。カマーグ、いや個人的には Springyard が。

-N : first

ネットレーベル -N 設立第一弾となるコンピがリリース。
私がライナーノーツを執筆しました。
ぜひ読んでダウンロードして聴いてみてください。

WILLIAM BASINSKI : Silent Night

荘厳な雰囲気を作り出す雄大なシンセサイザーと重厚な低音のループに、ザワザワとしたヒスノイズが延々と続いてゆくローファイな質感。60分一曲といっても実質40分間であり、安らかに眠れとばかりに緩やかにフェードアウトしてゆき、残りは余韻の展開。ケースは無く、紙にCDを挟んだだけの簡易包装となっている。

V.A. (Sutemos) : Flow.ers

ほんと無料でいいの?と言いたくなる様な大盤振る舞いSutemosから、今度はアンビエント・ミニマルテクノ・ミニマルダブのコンピがリリース。なんと YAGYA が2曲提供している。しかも Rhythm of Snow の続編ともいえる雪に覆われたテクノである。これは迷わずダウンロードすべきでしょう。それ以外にも同じくForce Inc.からリリースしていたOzy や、先日アルバムを出した Marsen Jules のより実験志向の名義 Krill.Minima なども参加。

TETSU INOUE : Yolo

テツイノウエの9作目となるソロアルバムが登場。「90年代のクラシックなアナログアンビエントとモダンなデジタルノイズとの調和」とのことであるが、試聴したところでは意外なほどまでアンビエント色が濃い。 O Shape は Sogar かと思うくらいの美しい音だし。さらに Remote なんて美しいだけじゃない。潮流のような力強い動きを感じる。

SHUTTLE 358 : Chessa

もはや絶対的な地位を確立した感のある Dan Abrams。本作ではマイクロサウンドから脱して現実世界へ向かったとのことで、温もりのある音色にどんぶら揺られていくような "logical", "nerf" や、望郷のメロディが美しい "melt" などが印象的である。しかし "blast" がもっとも良い。急流に飲まれていくような感じで、粒状グリッチサウンドの気持ち良さを再確認。ラストの "Scrapbook" は前作で言うところの "finch" のようなアコースティックで明確なリズムのある曲。

OYSTER : Oyster

Fukk God Lets CreateなるレーベルからドローンアンビエントのMP3作品。もはや感嘆の域。
― 繊細なメロディと微かなハーモニーを有するテクスチャを折り重ねた、フロリダ発の作品。時に軽やかに浮遊し、時に重くダークに、Oysterは音の中の音を探求してゆく。厚みのあるドローンに包まれた淡いメロディパターンは、あたかもレイヤー間を行き来するようである。(紹介文を一部改変)

MARSEN JULES : Herbstlaub

Thinner/AutoplateからのMP3作品「Yara」などですでに大物の片鱗を隠さずにはいられないという感じであった Marsen Jules。満を持してリリースされた初のCDアルバム作品は期待以上の素晴らしい出来となった。幾層もの荘厳なストリングスがダイナミックでありながらも丁寧に心地良く重ねられ、鮮やかな紅葉の情景を思わせる3曲。そよ風のようなノイズの上にぽつりぽつりと現れる寂れきったギターやピアノの音、静かで平穏な展開が晩秋のメランコリーを感じさせる3曲。まさに「neo-classical electronic music」の決定盤現る!

GILLES PETERSON Presents : The BBC Sessions Vol.1

有名無名問わず様々なアーティストが参加した未発表ライブ音源集。いきなり1曲目の The Heritage Orchestra - Telescopic の壮大なるオーケストラルジャズにやられます。こやつら何者だ?どうやらアルバムなどはリリースしていない模様。

BJ NILSEN & STILLUPPSTEYPA : Vikinga Brennivín

Hazard名義でもよく知られる BJ Nilsen と Stilluppsteypa とのコラボレーション。タイトルは幻覚作用のある酒であるそうだ。幾重にも交錯する音、しだいに迫り来る強風のような音、繰り返し通り過ぎてゆく音、幻聴のように微かに聞こえてくる音、そしてやがて訪れる暖かい平静。ラスト25分は暗く重たいドローンへとブラックアウトして終了。ここ最近の気分にぴったりな、陰鬱な冬の夜のアンビエント。

BJ NILSEN : Fade to White

欧州を旅行した際に各国で録り集めた素材を元に構築されたという作品。 Hazard よりもDSP色が濃厚になった緻密なドローン・ノイズ。「Dead Reckoning」「Let me know when it’s over」の2曲がかっこいい。 BJ Nilsen のサイトでダウンロード可能なアウトテイクですら質が高い。

ARC : Arcturus

クラシカルなアナログシーケンサーや巨大なモジュラーシステムによるリアルタイムの演奏。確かに往年のFAXを思わせるスケールのデカい音である。「Arcturus Part2」終盤のスピード感ある展開がかっこいい。

AO : View/Room

ネットレーベルmimiより、on_14さんのMP3形態のEPがリリース。当サイトのBBSの方で何度かやりとりがあったのですでに聴かれた方もいると思いますが、折り重なるギターの残響が激しくも美しい、ある種のアンビエント。僕が一番好きなのは「View 3」です。ぜひ思い切り音量を上げてヘッドフォンで聴いてみてください。音が降り注ぐとは、まさにこういうこと。

AGF/DELAY : Explode

女性アーティストAGFとVladislav Delayのコラボ。ワルシャワのサイトで試聴し、これはDemo(n)Tracksの流れを汲んだDelayの異次元空間とAGFのウィスパーボイスとが融合か?などと期待しながら想像をふくらませたが、フタを開けてみればそれ以外の曲は案外おとなしく地味な印象。またしてもワルシャワマジックかよ。厚手のブックレット付で、アートワークは非常にかっこいいです。

XELA : Tangled Wool

華やかなオープニング「softness of senses」が素晴らしい。ただし最初がクライマックスで、2曲目以降は割りと素朴なアコギ+シンプルなビートのトラックが続く。アコギはややおなかいっぱいになってきた感もある。でも1曲目は突出して良いですよ。

WILLIAM BASINSKI + RICHARD CHARTIER : s/t

Chartierが作った素材をBasinskiがエディットするという形で行われたコラボレーション。1.は初めは「The Garden of Brokenness」というタイトルがあったらしいが、混沌としていてほとんど廃墟のような荒んだ空気を感じる。2.は圧巻のスケールを誇る長大な神秘ドローン。冷徹でありながらも美しく繊細。 Deupree のアンビエント作品は日中部屋流しっぱなしでも気持ちよいけど、それとは対照的に本作はピンと張り詰めた緊張感・空虚感があり、静かな夜にじっくりと聴き込むべき作品か。